津波で住まいを失った人たちは、何度も移動を繰り返し、年月をかけて終のすみかにたどり着いた。被災直後に多くの人が直面したのは、避難所での生活条件に関する悩みだ。時間の経過とともに環境は改善されたが、移動が重なることで、人と人とのつながりが希薄になるという新たな課題も出てきた。
被災者の復興のかたちは、一つとして同じものはない。本設再建に至るまでの一人一人の決断に迫ると、大規模な宅地整備に時間がかかる中、思い描いた再建とのギャップが浮き彫りとなった。
暮らしを立て直そうと必死に歩んだ遺族の10年は、常に亡き人とともにあった。大切なあの人へ、いま伝えたい思いをつづる。